概要:米利下げを積極的に織り込む動きと底堅い経済ファンダメンタルズの間でミスマッチが拡大しており、世界の金融市場には「ゴルディロックス」相場の反転リスクが生まれている。HSBCホールディングスのストラテジスト、マックス・ケトナー氏が指摘した。
米利下げを積極的に織り込む動きと底堅い経済ファンダメンタルズの間でミスマッチが拡大しており、世界の金融市場には「ゴルディロックス」相場の反転リスクが生まれている。HSBCホールディングスのストラテジスト、マックス・ケトナー氏が指摘した。
ケトナー氏はブルームバーグTVのインタビューで、緩和観測が後退すればリスク資産の売りが誘発され、今後数カ月でドルはさらに上昇する可能性があると指摘。市場では現在、5月あるいは3月にも緩和サイクルが始まると織り込まれているが、同氏は米金融当局の利下げ開始時期は6月とみている。
ケトナー氏によれば、2024年上期の利下げ観測が後退すればゴルディロックス相場の反転につながる恐れがあり、そうなれば「資産クラス全体の痛み」に拍車がかかるという。
米国の経済データが「かなり堅調なファンダメンタルズ」を示しているにもかかわらず、利下げ観測は過去1カ月で急速に高まったと同氏は指摘。今週発表される昨年12月の米消費者物価指数(CPI)で根強い物価上昇圧力が示される場合には、早期の利下げ観測は後退を余儀なくされるとの見方を示した。
ケトナー氏は、経済見通しと金利見通しのどちらかを修正する必要があるとし、HSBCとしては「金利見通しの方にやや行き過ぎ、かつ若干の熱狂」をみていると説明。これがリスク資産のロングポジション拡大をもたらし、急反転のリスクを高めていると述べた。
同氏は、ゴルディロックス・シナリオが反転した場合に「隠れる場所はほとんどない」と指摘。反転に備えるポジションとしては、英ポンドやスウェーデン・クローナの代わりにドルを保有することや、短期の高格付け債やエネルギー、日本株への投資などを挙げた。