概要:米連邦準備制度理事会(FRB)がバランスシート圧縮ペースを減速し始める計画を示唆していることを受け、市場参加者は量的引き締め(QT)の終了プロセスがどの程度早期に始まるかの見極めを急いでいる。
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2024年1月9日 10:03 JST
ダラス連銀総裁、バランスシート圧縮ペース減速の必要性指摘
BofAは4月のテーパリング開始予想-モルガンSは9月にらむ
米連邦準備制度理事会(FRB)がバランスシート圧縮ペースを減速し始める計画を示唆していることを受け、市場参加者は量的引き締め(QT)の終了プロセスがどの程度早期に始まるかの見極めを急いでいる。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)とバークレイズのストラテジストは、当局が4月にQTを段階的に縮小するテーパリングを開始し、夏の中ごろまでにランオフ(償還に伴う保有証券減少)を終える可能性が高いと予想。ドイツ銀行は6月に開始するとみている一方、モルガン・スタンレーは当局が市場に十分な準備時間を与えたいため、9月までは行動を起こさないとの見方を顧客に伝えている。
QTを巡る方針について臆測が高まったのは、ダラス連銀のローガン総裁が週末、金融市場で流動性が乏しくなる兆しの中で、米金融当局は資産ポートフォリオの圧縮ペースを減速する必要があるかもしれないとの見解を示したことがきっかけ。バランスシート縮小の早期終了は民間部門が吸収しなければならない国債供給が減ることを意味するため、そのタイミングはトレーダーにとって極めて重要。
米ダラス連銀総裁、当局はバランスシート圧縮ペースを減速する必要
TDセキュリティーズの米金利戦略責任者、ジェナディー・ゴールドバーグ氏は「大きな問題はタイミングだ」と指摘した。同社は当局が6月までにランオフを停止すると予想している。
米金融当局は1年半以上にわたり毎月、米国債600億ドル(約8兆6500億円)、エージェンシー債350億ドルを再投資することなく償還させてきた。
ランオフをいつどのように終了するかについての計画を伝える取り組みは、当局がいかに2019年の事態は避けたいと考えているか浮き彫りにする。当時、金融当局が国債の買い入れを鈍らせ投資家がその穴埋めをしており、政府の借り入れ増加で銀行の準備金不足が悪化。ウォール街の銀行が日々の資金調達に広く頼るレポ取引の翌日物金利は一時5倍の10%にまで跳ね上がった経緯がある。
当時のランオフの規模は、米国債300億ドルとエージェンシー債200億ドルで、現在の計画の半分程度だった。
ライトソンICAPのエコノミスト、ルー・クランドール氏は8日の顧客向け文書で、「金融当局はまだ具体的な指針をあまり示していないため、現時点では時期についての推測は必然的に臆測の域を出ない」と指摘。「連邦公開市場委員会(FOMC)が事前に十分な下地を作りたいように見られることを踏まえれば、6月会合よりもかなり前の時点で何らかの変化が起こるとは考えにくい」との見方を示した。