概要:米連邦準備制度は国内経済の減速に伴い、現在示唆しているよりも大幅な利下げに踏み切る可能性があり、これが期間が短めの米国債の上昇を後押しすることが見込まれると、JPモルガン・アセット・マネジメントが指摘した。
1.5ポイント利下げが妥当な中心的シナリオ-マクゴレーン氏
JPモルガン・アセットは5年、7年、10年物の米国債を購入
米金融当局が年内にどの程度政策金利を引き下げる可能性があるかについて、ここ数カ月で見通しに大きな乖離(かいり)が生じている。米金融当局者は金利予測分布図(ドットプロット)で、年内の75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを予想。一方、金利スワップに基づくと、市場が織り込む利下げ幅は昨年12月後半に160bp近くに拡大した後、今週には140bp程度に縮小した。
こうした乖離はここ1年間に市場の大幅な変動につながり、2023年の米10年国債利回りの変動幅約180bpの大きな要因となった。マクゴレーン氏やダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏を含む多くの投資家は、昨年の米引き締め終了を早々に予想していたが、米経済が予想以上に堅調だったため、結局これは実現しなかった。
マクゴレーン氏は自身の従来予想について、米金融当局の利下げにつながるような経済の大きな低迷なしにインフレが鈍化したことは、「われわれにとっても他の人々にとっても大きな驚きだった」とし、「昨年の大半はリセッション(景気後退)局面に入ると考えていたが、明らかにそうなっていない」と述べた。
24年の見通しについては、「幅広いインフレ指標でみられた進展を踏まえると、各国・地域の中央銀行が目標に回帰できる可能性が一段と高くなっているように思われる」との考えを示した。
米金融緩和に伴い、10年債利回りは年内に現在の水準から50bp低下し、3.50%前後になる可能性があるとマクゴレーン氏は指摘した。
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