概要:サマーズ元米財務長官は米経済について、ソフトランディング(軟着陸)の可能性が高まったとみている。労働市場が堅調ぶりを維持しながらも、インフレが落ち着きつつあるというのが理由。
サマーズ元米財務長官は米経済について、ソフトランディング(軟着陸)の可能性が高まったとみている。労働市場が堅調ぶりを維持しながらも、インフレが落ち着きつつあるというのが理由。
サマーズ氏は11日にニューヨークのエコノミック・クラブで開かれたイベントで、2021年以降の「どの時点よりも現在はソフトランディングの可能性が恐らく高まっている」と発言。まだ確実とまでは言えないものの「非常に現実的な可能性だ」と付け加えた。
ハーバード大学教授の同氏は、米金融当局の利上げサイクルは成長を押しつぶすことなく需要を減退させたと指摘した。
ただ、ソフトランディングが視界に入ってきたとはいえリスクは残っている。サマーズ氏は、最近のインフレ鈍化は「根本的な低インフレの達成」というよりも、それまでの急激な物価上昇による側面が大きいと指摘。賃金の伸びと労働コストの上昇率は「2%のインフレ目標と整合する水準を明確に上回っている」と述べた。
この日に発表された昨年12月の米消費者物価指数(CPI)統計では、総合指数が3カ月ぶりの大きな伸びとなった。
米CPIは伸び加速、予想上回る上昇-早期利下げ期待が後退 (3)
一方、米経済が冷え込むとの見方を背景に市場では2024年を通じて約140ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げが見込まれている。
サマーズ氏は、ここまでの利下げ観測は行き過ぎだと指摘。利下げの回数については市場が織り込むほどではなく、2-3回となる可能性の方が高いとし、今後数カ月の利下げ見通しで「市場は少し先走りしている」と語った。