概要:米国のインフレの粘着性が予想以上に強ければ、米利下げに対する投資家の見込みは行き過ぎていたということになるだろうと、ブラックロックのヒルデブラント副会長が語った。
サービス価格の上昇はまだ続いており賃金も急速に上昇している
米国についての利下げ期待は恐らく行き過ぎだ
米国のインフレの粘着性が予想以上に強ければ、米利下げに対する投資家の見込みは行き過ぎていたということになるだろうと、ブラックロックのヒルデブラント副会長が語った。
前スイス国立銀行(中央銀行)総裁のヒルデブラント氏は世界経済フォーラム(WEF)年次総会が開かれるダボスでブルームバーグテレビジョンに出演。消費者物価上昇率の急速な低下は金融市場に、基調的圧力に対する誤った安心感を与えていると述べた。
「モノのインフレは今後も急速に鈍化するだろう。現在はマイナスになっている。これは総合インフレ率の数字をかなり劇的に低下させる。その結果、市場は米国の利下げを過剰に織り込んでいる」と話した。
短期金融市場は、米連邦準備制度が今年中に6回の0.25ポイント利下げ実施すると想定。7回目の確率も50%以上織り込んでいる。5月までに最初の利下げがあると見込まれている。
ヒルデブラント氏は、このような見通しが間違いであることに投資家が気付くのはそう先のことではないだろうと警告。
市場が「インフレという問題が消え去ったほぼ完璧といってよいソフトランディングを期待しているのではないかと少し心配している。金融当局が求める目標2%でインフレを安定させるのがそう簡単ではないことに、ある時点で気づくことになるだろう。従って特に米国についての利下げ期待は恐らく行き過ぎだ」と語った。
ヒルデブラント氏は特に、サービス価格の上昇がまだ続いており、賃金も急速に上昇していると指摘。そのため、低成長の中でも当局が家計や企業を支援できる範囲は限られるという。
「経済が弱くなることは間違いないが、特に米国において、中銀は現在織り込まれているほどには金融緩和の余地がないことに気づくだろう」トヒルデブラント氏は述べた。