概要:国際通貨基金(IMF)のゴピナート筆頭副専務理事は16日、急激な利下げに対する市場の期待はやや時期尚早だとし、インフレとの闘いはまだ終わっていないと主張した。
2024年1月16日 20:26 JST
急激な利下げに対する市場の期待、やや時期尚早-ゴピナート氏
次の動きは恐らく今年中の利下げになるだろう-ビルロワドガロー氏
「市場は中央銀行が相当に急な利下げを行うと予想しているが、その結論に達するのはやや早過ぎると思う。今年中に利下げがあるとは考えられるが、現在のデータを見る限り、それは年後半になる可能性の方が高い」と語った。
ゴピナート氏はまた、景気は逼迫した状況下でも持ちこたえており、深刻な景気後退の可能性は低くなっていると分析した。
「家計も企業もバランスシートが強化され、その影響が見られるが、底堅さも見られる。労働市場は減速しているが、ペースはずっと緩やかだ。『ソフトランディング』のシナリオのように思われる。経済活動の面でそれほど大きな損失を伴わずにインフレ率が低下したため、その確率はかなり上がっている」と述べた。
長期的には、中銀がインフレを押し上げようとしていた世界金融危機後の時期よりも、政策金利は平均的に高くなるだろうとの見解も示した。
欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのビルロワドガロー・フランス中銀総裁は同じパネルで、気候変動対策を含む経済の変革は、長期的により高い金利を意味すると語った。ECBの政策金利はサイクルを通じて平均で2%前後が「ニューノーマル」になる可能性があるとの見方を示した。
ビルロワドガロー氏は、ECBが利下げを実施する正確な時期については明言を避けた。
「勝利宣言をするのは早過ぎる。まだ仕事は終わっていない、というゴピナート氏の意見に完全に同意する」と述べた上で、金利が「現水準より高くなることはないはずで、中東で大きなサプライズがない限り、次の動きは恐らく今年中の利下げになるだろう」と語った。
経済成長見通しについてもゴピナート氏に賛同し、「米国と欧州の両方で見られるのは、ソフトランディングのたぐいだ」と述べた。