概要:欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は17日、この夏に利下げをすることについて恐らく当局者の間にコンセンサスがあると語った。
利下げを見越した市場の積極的な取引、当局の仕事の助けにならない
決定はデータ次第、一部指標は望ましい水準で安定してはいない
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は17日、この夏に利下げをすることについて恐らく当局者の間にコンセンサスがあると語った。
ラガルド氏は世界経済フォーラム(WEF)年次総会が開催されているスイスのダボスでブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じ、消費者物価を抑制するため当局は「正しい道を進んでいる」とした上で、何が起こるかについて述べるのは当局者の役目だと主張した。
利下げの「可能性は高いと思う。しかし慎重であることが必要だ。決定はデータに依存し、依然として一定水準の不確実性があり、一部の指標はわれわれが望む水準で安定してはいないからだ」と語った。
政策発表前の発言自粛期間を前に、総裁や他の当局者らは最終的には利下げに向かっていることを認めつつ、差し迫った緩和への期待をけん制しようとしている。
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ラガルド氏は、利下げを見越した市場の積極的な取引は当局の仕事の助けにならないと指摘。投資家の行動が妨げになると論じた。
「実際に起こる可能性が高い利下げよりも市場の期待がはるかに大きければ、インフレとの闘いの助けにならない」と明言。
「われわれは正しい道を歩んでおり、方向性としてはインフレ率2%に向かっている。しかし、2%を中期的に持続できると確信し、それを裏付けるデータが得られるまで、私は勝利を宣言するつもりはない。まだだ」とラガルド氏は語った。
市場は4月から始まる年内6回程度の0.25ポイント利下げを想定している。
物価見通しを左右するのは賃金動向だ。ユーロ圏のインフレ率は昨年12月に2.9%へと上昇した。加速は一時的なものとみられるが、ディスインフレ傾向は緩やかになるとECBは予想している。
ラガルド氏は賃金リスクについて「様子見だ」と述べ、全ての要因について検証しようとしていると語った。
インフレ再燃のリスクを見極める上で「私が注視しているのは、賃金交渉、利益率、エネルギー価格、そして、そうならないことを祈るが、供給ボトルネックの復活だ」と語った。「これら4つは重要な要素であり、インフレ対策に深刻な影響を与える可能性がある」と指摘した。