概要:クオンツ運用大手のAQRキャピタル・マネジメントは、中期の債券リターン予測を引き上げ、株式の予想は引き下げた。2023年の両資産クラスの動向は市場予測と異なる結果で終わっている。
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2024年1月17日 8:45 JST
米英独と日本の指標債券の予想修正、利回り上昇とインフレ鈍化で
大半の株式でパフォーマンス予測引き下げ-バリュエーション上昇
クオンツ運用大手のAQRキャピタル・マネジメントは、中期の債券リターン予測を引き上げ、株式の予想は引き下げた。2023年の両資産クラスの動向は市場予測と異なる結果で終わっている。
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クリフ・アスネス氏が共同で創業したAQRの年次資本市場見通しによると、運用資産990億ドル(約14兆6000億円)の同社は、米国、英国、ドイツ、日本の指標となる債券について、今後5-10年間のインフレ調整後のリターン予想を最大0.7ポイント引き上げた。利回り上昇とインフレ鈍化が主な理由という。
一方、バリュエーション上昇と現金に対する超過リターンの低下を理由に、大半の株式でパフォーマンス予測を引き下げた。
10年物米国債の中期の実質リターンは1.7%を見込む。米国株は3.8%を予想。修正の結果、株式に6割、債券に4割を配分する伝統的な「60/40」ポートフォリオの運用成績見通しは向こう5ー10年間でプラス2.9%となり、ほぼ変わらなかった。
AQRはこの予測について「この10年間で最も高い水準付近で、1900年以降の平均に近い」とする一方、「1900年以降の米国の長期平均である約5%を大きく下回る」と指摘した。