概要:欧州中央銀行(ECB)の当局者の一部は前回の政策決定時に、金融緩和を見込む投資家の取引がインフレ抑制に取り組む妨げになるのではないかと懸念していた。
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2024年1月18日 23:02 JST
ECB、昨年12月13-14日の政策決定会合の議事要旨を公表
ECBは春から急速な利上げを開始との見方、投資家が維持
欧州中央銀行(ECB)の当局者の一部は前回の政策決定時に、金融緩和を見込む投資家の取引がインフレ抑制に取り組む妨げになるのではないかと懸念していた。
18日に公表された昨年12月13、14日両日の政策決定会合の議事要旨によれば、会合では「市場の急激なリプライシングが金融環境を過度に緩める恐れがあり、インフレ抑制のプロセスを頓挫させかねない」との懸念が表明された。
急速な利下げが春から始まるとの市場の期待に、ECBは冷や水を浴びせようとしている。当局者のけん制を受けて投資家はポジションを若干シフトさせたが、年央の緩和開始を目指しているもようの当局と、投資家の見方はずれたままだ。
ECBは「市場の期待はかなりの楽観を反映しており、専門的な仮定に採用されている金利軌道およびインフレ見通しの両方に関して、ECBのスタッフ予測とは食い違っているとの感触を多くの当局者が持っている」と説明した。
その他の主なコメントは以下の通り。
金利について
「利上げの影響の重要な部分はまだ浸透していない。経済活動への全体的な影響は2024年序盤にピークを迎え、インフレへの影響の大部分は今後2年間に表れると引き続き予想された」
「金融引き締めの効果はますます目に見えてきており、おおむね意図した通りに進んでいる。資金調達と信用条件は引き締まり、貸し出しは減速し、総需要は弱まり、基調的インフレは緩やかになっている」
市場について
「ここ数カ月の市場のプライシングの顕著な変化は、金融環境の指数の強い動きをもたらした」
「標準的な金融環境の指数のほぼ全ての構成要素は、金融環境が大幅に緩み、年初の水準に戻ったことを示している」
インフレについて
「過去2年間、基調的なインフレの全ての指標は、上昇した後に大幅に低下した。基調的インフレ圧力についてのシグナルは明瞭ではない」
経済について
「インフレを除くユーロ圏のマクロ経済データは予想を上回り、経済の『ハードランディング』懸念は緩和された」
「機械的な予測ツールが経済活動の鈍化とテクニカルなリセッション(景気後退)の可能性を引き続き指し示していることを考慮すると、昨年12月のスタッフによる短期的な成長率予測は全体的に楽観的過ぎるかもしれないとの見方も示された」