概要:市場は米連邦準備制度の利下げペースとその幅を過大に織り込んでおり、頑強なインフレの高止まりを見過ごしていると、モハメド・エラリアン氏が指摘した。
「利下げは市場が期待しているほど早くも深くもないだろう」
市場はインフレ高止まりを見過ごし-サービスインフレまだ高い
市場は米連邦準備制度の利下げペースとその幅を過大に織り込んでおり、頑強なインフレの高止まりを見過ごしていると、モハメド・エラリアン氏が指摘した。
ケンブリッジ大学クイーンズカレッジの学長で、ブルームバーグ・オピニオンのコラムニストでもあるエラリアン氏は、「利下げは実施されると思うが、市場が期待しているほど早くも深くもないだろう」と述べた。香港で開催のUBSグローバル・ウェルス・マネジメントの会議で語った。
最初の利下げが市場の予想より「遅くても私は驚かない。恐らく夏の初めだと思う。市場が織り込んでいるよりむしろ当局が示唆した75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に近い引き下げで今年を終えても驚かない」と述べた。
今週、ウォラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事が積極的な利下げに否定的な姿勢を示したことや、米小売売上高が予想を上回ったことを受け、トレーダーは現在、今年の緩和幅を約140ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と想定。一時の約175bpから後退させている。
エラリアン氏は、市場はサービスセクターのインフレを過小評価しているとし、サービスインフレはまだ財のインフレより高く、より早急に下がる必要があると論じた。
連邦準備制度がインフレ目標を変更することはないだろうとも語った。
会議での質疑応答では、10年物米国債利回りは3.5%よりも4.5%に近い水準で年末を迎える可能性があるとの見方を示した。米国の今年の成長率については、新型コロナウイルス期の貯蓄増に後押しされていた前年から経済が正常化するに伴い、1-2%程度になるかもしれないと語った。