概要:ファンドマネジャーらは昨年早い時期の金融市場の混乱で足をすくわれた後、テクノロジー株に膨大な資金をつぎ込んだ。そのため、ナスダック100指数が投資家の撤退に一段と脆弱(ぜいじゃく)になっているとの警告も発せられている。
短期筋のナスダック100先物ネットロング、約7年ぶり高水準-SG
「潜在的なダウンサイド大きい」、下落ヘッジのオプションに需要
ファンドマネジャーらは昨年早い時期の金融市場の混乱で足をすくわれた後、テクノロジー株に膨大な資金をつぎ込んだ。そのため、ナスダック100指数が投資家の撤退に一段と脆弱(ぜいじゃく)になっているとの警告も発せられている。
米連邦準備制度が今後数カ月で急激な利下げを実施するとの観測が広がる中、ハイテク株に対する投資家の高揚感は高まっている。
米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したナスダック100先物とeミニ先物のデータをソシエテ・ジェネラルが加重分析したところ、ヘッジファンドのナスダック100先物のネットロングは約7年ぶりの高水準となっていた。
一方、バンク・オブ・アメリカ(BofA)が今月実施したグローバルファンドマネジャー調査では、米金融緩和観測に着目したいわゆる「マグニフィセント・セブン」銘柄やその他のハイテク関連グロース株のロングが最も多いことが示された。
マグニフィセント・セブンはテスラとアマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、アップル、アルファベット、メタ・プラットフォームズ、エヌビディア。
18日の米株式市場では、ハイテク株の強さがナスダック100を1.4%押し上げ、このポジショニングは好調そうだ。ただ、投資家が四半期ごとの決算を分析し、このセクターの成長見通しを新たに読み解くというリスクも今後数週間に控える。
ソシエテ・ジェネラルのグローバル・アセット・アロケーション・ストラテジスト、アルチュール・ファンスローテン氏は「投資家はナスダック100に非常に強いウエートを置かざるを得ないと感じている。確かにパフォーマンスは良い。しかし、別の理由はナスダック100へのウエートが十分でない場合、恐らく株式ベンチマークを下回る成績になるということだ」と指摘した。
その上で、同氏はエクスポージャーが大きいということは、「潜在的なダウンサイドも大きい」ことを意味すると述べた。
次の10年
ナスダック100は昨年54%上昇し、1990年代後半のドットコムブーム以来最高のパフォーマンスを記録。今年1月は米国の他の主要ベンチマークをわずかに上回るペースとなっている。
堅調な経済データと連邦準備制度当局者の発言により、トレーダーが今四半期中にも米利下げがあり得るとの観測を後退させたため、月初はやや勢いを失った。
ナスダック100(NDX)の予想される変動率を表す指標、シカゴ・オプション取引所NDXボラティリティー指数は昨年11月以来の高値圏にあり、原指数の下落をヘッジするオプションへの需要が高まっていることを示している。
ボントベル・スイス・ファイナンシャル・アドバイザーズのパスカル・ケッペル氏は、大手ハイテク企業の成長率はピークに達したとの見方から、セクターの中立を維持。「投資家はハイテクに過剰に投資している。ハイテク企業は過去10年の成長を次の10年も繰り返すことができるのだろうか。答えは分からないが、このような異常な高成長を遂げる可能性は低下している」と語った。
それでもUBSグループは、昨年の株価上昇の大きな原動力となった人工知能(AI)が今後何年にもわたり株価の追い風になると想定。UBSはAI業界の収入が2027年には約4200億ドル(約62兆1000億円)へと急増するとみている。22年は280億ドルだった。