概要:昨年12月の米消費者物価指数(CPI)統計で、総合指数は前年同月比3.4%上昇と、3カ月ぶりの大きな伸びとなった。市場予想は3.2%上昇だった。食品とエネルギーを除いたコア指数は前年同月比3.9%上昇。11月は4.0%上昇だった。
昨年12月の米消費者物価指数(CPI)統計で、総合指数は前年同月比3.4%上昇と、3カ月ぶりの大きな伸びとなった。市場予想は3.2%上昇だった。食品とエネルギーを除いたコア指数は前年同月比3.9%上昇。11月は4.0%上昇だった。
12月米CPIに関する市場関係者の見方は以下の通り。
◎LPLファイナンシャルのチーフ・グローバル・ストラテジスト、クインシー・クロスビー氏:
インフレ圧力は全般的に低下傾向にあるものの、数字は依然として予想を上回っている。最終的なゴールに到達するまでの『最後の1マイル』はより多くの時間を必要とする。きょうのCPI統計は、米利下げ開始が市場の期待より遅れる可能性を示唆している。
◎プリンシパル・アセットのチーフグローバルストラテジスト、シーマ・シャー氏:
今回のCPI統計は、利下げのタイミングを巡って市場がやや興奮し過ぎていたとの見方を裏付ける。悪い数字ではないが、ディスインフレの進展ペースは依然として遅く、2%に向けて一直線に進む可能性は低いことを示している。住居費の高止まりが根強く続く限り、金融当局は近い将来に利下げが実施されるとの見方をけん制し続けるだろう。ただ、当初の期待に対する市場の熱狂は行き過ぎだったと考えられるものの、ようやく米利下げが見通せる状況になったようだ。利下げ開始は年央ごろとなる可能性が最も高い。
◎インディペンデント・アドバイザー・アライアンス(IAA)のクリス・ザカレリ氏:
投資家にとっては米金融当局が利上げを終了したというのが最も重要なことだろう。今回の統計はこの見方を変えるものでは一切ない。従って、当局が3月あるいは6月に利下げしようが、利下げ回数が4回、3回、もしくはわずか2回だろうが、それほど重要ではないはずだ。経済がリセッション(景気後退)を回避する限り、市場は上昇し続けるだろう。
◎タイタン・アセット・マネジメントのジョン・リーパー最高投資責任者(CIO):
どちらかといえば、継続的なディスインフレが進行中であるという考えを補強する内容であり、3月利下げの可能性をわずかに後退させる一方、6月の利下げの可能性を高めている。昨年終盤には2024年を通じて6回の利下げという積極的な織り込みがあり、現在は若干巻き戻しが進んでいる。
◎アリアンツ・インベストメント・マネジメントのシニア投資ストラテジスト、チャーリー・リプリー氏:
最新のインフレデータでやや強さが示されたことから、金融当局が近い将来の利下げを検討する緊急性は低下するだろう。全体として、今回のインフレデータを踏まえると3月の利下げは可能性の低いシナリオのように思われる。
◎グローバルXのジョン・メイヤー最高投資責任者(CIO):
CPIの伸び加速は、景気回復の予測不可能な性質とマクロ経済データの不透明さを改めて認識させるものだ。投資家は期待値を下げ、警戒を続ける必要があるかもしれないということを示唆している。市場はボラティリティーが高まる可能性に備える必要があるかもしれない。こうしたインフレ圧力に対応するため、金融当局は景気抑制的な政策スタンスを維持する、ないし強める可能性もあるためだ。