概要:若い投資家の7割超が「従来型の資産形成は、もう通用しない」——。

「コツコツと積立投資を続けていれば、将来は安泰だ」 かつて疑いようのなかった投資の黄金律が今、静かに、しかし決定的に崩れ始めています。
日本では新NISAの普及により、ようやく「貯蓄から投資へ」の波が本格化しました。しかし、海の向こうアメリカ、そして世界中のトレンドに敏感なデジタルネイティブたちの視線は、もはやその先にある「オルタナティブ資産」へと注がれています。
ある衝撃的なデータがあります。
米国のCoinbaseとIpsosが行った最新の調査で、Z世代およびミレニアル世代の投資家のうち、じつに73%が「従来の資産形成の道筋は、もはや機能していない」と回答したのです。
これまでの王道といえば、大学を出て、企業に勤め、給与の一部を投資信託に回し、数十年後の複利効果を待つ……というもの。しかし、今の若者たちが直面しているのは、記録的なインフレ、高騰し続ける住宅価格、そして停滞する賃金です。
「親の世代と同じようにやっていても、同じ豊かさは手に入らない」
この冷徹な現実が、彼らを突き動かしています。彼らにとって、投資はもはや「余剰資金の運用」ではありません。将来を自力で切り拓くための、切実な生存の手段へと変質しているのです。
「ただ待っているだけでは、置いていかれる。自分たちでルールを書き換えなければならない」
株と債券を買い、年に一度のリバランス。銀行やプロの助言を待つ——。 そうした「待ちの運用」から、自ら動く「攻めの運用」へ。今、投資の重心ははっきりと移動しています。
その結果、彼らはよりアクティブに、より頻繁に取引を行い、暗号資産やデリバティブ、さらには従来の枠組みに囚われない非伝統的な資産へと資金を投じているのです。
今の若い投資家の行動を象徴する言葉、それは「自己決定」です。 調査では、若年層の80%以上が「投資判断は自分自身でコントロールすべき」と考え、約70%が「金融アドバイザーより、自分の判断のほうが信頼できる」と断言しています。
彼らは決して孤独に判断しているわけではありません。ただ、頼る相手が違うのです。 相談相手は銀行の窓口ではなく、SNSやコミュニティ。証券会社の営業担当ではなく、リアルタイムで収益を上げている同世代の投資家。
YouTube、Discord、X(旧Twitter)。情報は24時間絶え間なく流れ、常にアップデートされ続けます。 その結果、投資は「人生設計の一部」から「日常の動作」へと変わりました。アプリを開けば市場は常に開いており、数タップで売買が完結する。ニュースも価格も、すべてが手元のスマホに集約されている。
「待つ」ことよりも「動く」ことが自然。そんな環境で育った彼らにとって、別世界の出来事のように映っているのかもしれません。
注目すべきは、彼らの資産配分の大きな変化です。 「若いうちはリスクを抑えて」というかつての助言は、彼らには響きません。むしろ、「若いうちに高いリスクを取らなければ、逆転のチャンスはない」というのが彼らの本音です。
平均すると、Z世代・ミレニアル世代のポートフォリオの約25%が、暗号資産、デリバティブ、テーマ型商品、予測市場といった「非伝統的資産」で占められています。高齢層ではこの比率が10%未満であることを考えれば、この差はもはや「断絶」と言ってもいいでしょう。
彼らが求めているのは、特定の商品そのものではありません。共通しているのは、次の三つの条件です。
・24時間、いつでも市場にアクセスできること
・圧倒的な成長余地(アップサイド)があること
・デジタルとソーシャルな体験が統合されていること
夜間取引、イベント連動型商品、暗号資産連動デリバティブ。 これらは親の世代から見れば「ギャンブル」に映るかもしれません。しかし、停滞した経済を生きる彼らにとっては、残された数少ない「成長への選択肢」なのです。
一方で、ETFの利用は急速に広がっています。
米国ではETF保有率が2018年の31%から2023年には47%へ。2025年には50%を超える、つまり投資家の2人に1人がETFを保有する時代が来ると予測されています。
これは、若年層が「低コスト・透明性・シンプル」という合理的な価値を極めて高く評価している証拠でもあります。
同時に、投資信託の保有率は72%から62%に低下しました。
長期・分散の象徴だった投資信託が、静かに存在感を失っているのです。
しかし、ここで見誤ってはいけないのは、彼らが「保守化」したわけではないという点です。 彼らはETFという「安全な土台」を賢く利用しながら、その別枠で、極めてリスクの高いオルタナティブ資産にも積極的に触れています。
「守り」のETFと、「攻め」の暗号資産。
この両極端な資産を同じポートフォリオの中に並存させ、組み合わせた戦略をスマホ一台で管理する。それこそが、現代の若者たちが編み出した新しい投資のスタイルなのです。
今回の調査で、もう一つ興味深い事実が判明しました。それは、女性投資家の台頭です。
驚くべきことに、米国における女性投資家の資産保有額の中央値は52,105ドルに達し、男性(50,271ドル)を上回りました。投資はもはや男性主導の分野ではなく、自立を目指すあらゆる人々のための「自立を支える手段」へと変貌を遂げています。
しかし、その輝かしい変化の裏で、教育水準による「格差」という影も色濃く残っています。 大学院卒業者の平均資産が約14万8,000ドルであるのに対し、高校卒業者は約2万8,000ドル。投資の民主化が進み、大学学位を持たない投資家が半数を超えた今なお、経済的な格差は厳然として横たわっています。
投資が「誰にでも開かれたもの」になったからこそ、情報の波を巧みに乗りこなす者と、その渦に飲み込まれてしまう者。この二極化が、今まさに加速しているのです。
新しい世代の投資家は賢く、スピード感に溢れています。 しかし、その自由と引き換えに、彼らは常に危険と隣り合わせの状態にあります。SNSを賑わす誤情報、巧妙な投資詐欺、そして過度なレバレッジがもたらす深刻な損失。
24時間動く市場は自由ですが、休まない市場は投資家の精神を削り取ります。高成長資産は魅力的ですが、その裏には同じだけの暴落のリスクが潜んでいます。
今、社会に求められているのは、彼らの意欲を「止める規制」ではありません。 彼らの挑戦を「守る仕組み」です。 透明性の確保、リスクの適切な表示、そしてプラットフォーム側の重い責任。
安全な投資は、「調べる」ことから始まります。
SNSやチャットでの「おいしい話」、少しでも「変だな」と感じたら──それは大切なサインです。
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「積立投資はもう古いのか?」という問いに対し、答えは「NO」かもしれません。しかし、「積立投資だけで十分なのか?」という問いに対しては、世界の若者たちは明確に「NO」と答えています。
私たちが目撃しているのは、単なるブームではありません。金融の主導権が、一部の専門家から、アクティブな個人へと移っていく歴史的な転換点です。
今は、積立は土台。
その上で、人は動き、選び、試し、学び、時に失敗します。
それでも市場に戻ってくる。
それが今の若い投資家です。
投資はもはや静かな貯蓄ではありません。
それは、変化する世界との対話であり、自分自身との対話です。
その対話の声が、今、若い世代のものになりつつあります。


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SNSでの「買い煽り」は犯罪?

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