概要:SNSでの「買い煽り」は犯罪?

スマートフォンを開けば、投資の情報があふれる時代です。
「この株が来る」「今が最後のチャンス」。
そんな言葉を、SNSやメッセージアプリで目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
オーストラリアで、こうした「甘い誘い」の裏に潜む危険を改めて浮き彫りにする事件が起きました。金融当局は、SNSを使って株価を不正につり上げる、いわゆる「Pump-and-Dump(仕手)」行為に対し、強い警告を発しています。
オーストラリア証券投資委員会(ASIC)によりますと、4人の個人投資家が、メッセージアプリ「Telegram」のグループを使い、特定のオーストラリア株を集中的に買い煽っていました。
対象となったのは、流動性の低い小型株、いわゆるペニー株です。
参加者に対し、「今後急騰する」「大口が入る」といった未確認情報や誇張した噂を流し、株価を短期間でつり上げる。その後、価格が高騰したタイミングで自分たちだけが売り抜ける。典型的な仕手株操作でした。
その結果、後から参加した一般の投資家が高値づかみをさせられ、損失を被る構図です。
4人は、市場操作の共謀や犯罪収益の取り扱いなどの罪を認め、有罪判決を受けました。
裁判所は、集中的な矯正命令付きの実刑相当の処分を言い渡し、さらに数千豪ドル規模の罰金の支払いも命じています。
ASICのジョー・ロンゴ委員長は、次のようにコメントしています。
「彼らはSNSを使って市場を歪め、価値の低い株を人工的につり上げ、短期的な利益を得ました。その代償を払わされたのは、何も知らない一般の投資家です」
強い言葉で、行為の悪質性を非難しました。
ASICは今回の判決を受け、特に年末年始の休暇シーズンを前に、注意を呼びかけています。
この時期は、まとまった時間ができ、「何か新しい投資を始めたい」と考える人が増えやすい。そこを狙う形で、仕手グループや詐欺的な投資勧誘が活発になるといいます。
最近では、実在するオーストラリアの有名人や著名投資家の名前や写真を無断で使い、「本人が推奨している」と見せかける手口も確認されています。
誘導先は、LINEやTelegram、WhatsAppといった閉鎖的なチャット空間。外から実態が見えにくいのが特徴です。
ポンプ・アンド・ダンプは、もはや一国だけの問題ではありません。
ASICによると、先月ロンドンで開かれた国際会合では、オーストラリア、アジア、ヨーロッパ、北米の金融当局が一堂に会し、この問題が主要議題として取り上げられました。
背景にあるのは、犯罪の高度化です。
組織的な犯罪グループが関与し、国境をまたいで株式を売買するケースも増えています。
さらに、他人の証券口座をハッキングして不正取引を行ったり、規制の隙間を突く形で海外市場を利用したりと、手口は年々巧妙になっています。
ASICで市場監視を担当するアマンダ・ゼラー上級責任者は、次のように説明します。
「流動性の低い小型株は、少しの買い注文でも価格が大きく動きます。そこに誤解を招く情報や噂が流されると、株価への影響は非常に大きくなります」
裏を返せば、「急に動いた株」ほど、仕手の可能性を疑う必要があるということです。
こうした動きを受け、各国の規制当局も警戒を強めています。
ニュージーランドの金融市場庁(FMA)、アメリカの金融業界規制機構(FINRA)、さらにはFBIも、ポンプ・アンド・ダンプに関する警告を一般投資家向けに発信しています。
共通しているのは、「SNS発の投資話をうのみにしないこと」「短期間で確実に儲かる話は存在しない」というメッセージです。
スマホ一つで投資ができる時代は、便利である一方、危うさも抱えています。
画面の向こうで誰が、どんな意図で情報を流しているのか。その見極めが、これまで以上に重要になっています。
「みんなが買っている」「今だけ」という言葉に背中を押されたときこそ、立ち止まる。
その一呼吸が、資産を守る分かれ道になるのかもしれません。


暗号資産の世界では、ブームと停滞を繰り返してきました。

「無料」という言葉は、投資の世界でも強い吸引力を持ちます。

安全で健全な外国為替エコシステムの構築を目指し、業界の力を結集するとともに、業界の革新と持続的発展を推進する「WikiFX ゴールデン・インサイト・アワード」は、新たな特集シリーズ「ゴールデン・インサイト・アワード審査員の声」 を始動しました。

海外FXで夢を追うにしても、ブローカー選びは慎重に行う必要があります