概要:熊本県警天草署管内で、SNS広告から暗号資産取引へ誘導し、架空の利益表示で送金を重ねさせる投資詐欺が発生した。

熊本県警天草署の管内で、暗号資産への投資を名目としたSNS型投資詐欺が発生した。被害者はSNSに掲載された投資広告をきっかけに暗号資産取引へ誘導され、7月上旬から中旬にかけて金銭をだまし取られた。
今回の事案では、SNS広告から暗号資産取引所や投資サイトへ利用者を移動させる手口が使われた。サイト上では投資によって利益が増えているように表示され、被害者は運用が順調に進んでいると認識して送金を続けた。
SNS型投資詐欺では、実際の市場価格に似せた数字やチャートを表示し、入金後に口座残高が増えたように見せる仕組みが多く使われる。画面上の利益が相手への信用を強め、追加資金の送金につながる。天草で発生した事案も、SNS広告、暗号資産取引、架空の利益表示を一連の流れとして組み合わせていた。
熊本県警の暫定集計によると、2026年1~7月に県内で確認された「電話で『お金』詐欺」は190件、被害額は20億6,215万9,000円だった。認知件数は前年同期から6.4%減少した一方、被害額は73.0%増加している。
このうちSNS型投資詐欺は64件で、前年同期比45.5%増となった。被害額は11億7,596万2,000円に達し、前年同期の4億4,619万9,000円から163.6%増加した。県内の詐欺被害総額の約57%をSNS型投資詐欺が占めている。
ニセ警察詐欺の被害額は4億4,831万8,000円、SNS型ロマンス投資詐欺は2億3,393万円だった。SNS型投資詐欺は件数、被害額ともに県内で最大の類型となり、被害額の伸びが認知件数の増加を大きく上回った。
被害金の交付手段では、インターネットバンキングが30.5%で最も多く、暗号資産も24.7%を占めた。銀行口座を使った振り込みに加え、暗号資産による送金が詐欺グループの資金回収に組み込まれている。
暗号資産は複数のウォレットを経由して移動できるため、SNS上の投資勧誘と組み合わせやすい。取引画面に表示された残高と、実際に移動した資金の流れが切り離される点も、被害が長期化する要因となっている。
天草の事案は、暗号資産相場への関心を入口に、架空の運用成績を表示しながら送金を重ねさせる現在のSNS型投資詐欺の構造を示している。熊本県内では被害額の高額化が進み、暗号資産を介した資金移動の比重も高まっている。