概要:キプロスを拠点とする暗号資産投資詐欺ネットワークがユーロポール支援の国際合同捜査で摘発され、容疑者3人が逮捕された。偽の著名人広告で投資家を誘導し、リモートアクセスソフトウェアで端末を制御して資金を移動させる手口で、ベネルクス地域の個人投資家から数千万ユーロが騙し取られたとされる。

2026年7月15日、キプロスで暗号資産投資詐欺ネットワークの疑いで3人の容疑者が逮捕された。現地報道によると、ユーロポールの支援のもと、キプロス、ベルギー、ギリシャの警察が合同で捜査にあたった。
標的となったのはベルギーとオランダの個人投資家だ。被害総額は数千万ユーロに上るとされている。捜索ではハードウェアウォレット、高性能コンピューター、現金5万ユーロが押収され、当局はこれらのデバイスから資金洗浄ネットワークの全容解明と追加関与者の特定を進めている。
当局によると、グループはプロフェッショナルなコールセンター方式の事業を展開していた。主要ソーシャルメディア上にベネルクス地域の著名人を無断で起用した偽の投資広告を出稿し、関心を示した個人投資家の情報をキプロスで待機する「投資アドバイザー」や「アカウントマネージャー」に引き渡していた。
最大の特徴はリモートアクセスソフトウェアの悪用だ。容疑者は口座開設を案内する名目で被害者の端末にアクセスし、画面を制御。そのまま暗号資産ウォレットの連鎖を通じて資金を移動させた。
被害者が出金を試みると、「税金」「保証金」などの名目で追加の支払いを要求される、典型的な詐欺ブローカーの手口が使われていた。資金を取り戻せるという期待を逆手に取り、さらなる送金を迫る二重構造が確認されている。
今回の摘発は、ユーロポールと各国当局が進める執行戦略の転換を象徴している。従来の詐欺ウェブサイトの削除対応から、その背後にある組織インフラの解体へと焦点が移行しているのだ。
2025年には、7億ユーロ以上を処理した暗号資産詐欺および資金洗浄ネットワークが摘発され、9人が逮捕された。別の合同作戦では、偽ブローカーネットワークにリンクする1,400以上の詐欺投資ウェブサイトが削除されている。
今回の捜査でも、ウェブサイトやウォレットではなく、コールセンター、アカウントマネージャー、投資家対応を統括する人物といった運営インフラそのものが標的とされた。
今回の手口には、個人投資家が詐欺を見分けるための明確な危険信号が複数含まれている。著名人を無断使用したソーシャルメディア広告、画面の遠隔操作を求めるソフトウェアのインストール要求、そして出金時に発生する「税金」や「保証金」といった名目での追加送金要求だ。
こうした手口に遭遇した場合、資金の移動を直ちに停止し、取引プラットフォームの登録状況を金融監督当局の公式サイトで確認することが推奨される。絶対に儲かるという保証型の投資話や、画面操作を求める事業者には特に警戒が必要である。